2006年07月22日

日本・日本語・日本人

book1.jpg
「日本・日本語・日本人」という本を読んだ。
私が言語についての研究の道に進むきっかけとなったのが、大学時代、鈴木孝夫先生の著作と出会ったこと。
当時、鈴木氏の、言葉に関する目から鱗の話にすっかり虜になった。

この本も、鈴木氏が著者に加わっているということで迷わず選んだのだけど、大正解!
国語学の第一人者ともいえる大野晋先生と、もと新聞記者の森本哲郎氏との共著。
日本の文化や歴史や風土など、日本を取り巻く全てが、日本語という言語の形成に関わっていて、
日本語を知ることは、日本という国や日本人そのものを知ることだと論じられている。
つまり、日本人とは、日本とは何か?ということを、日本語を探ることで明らかにすると同時に、現在の日本の言語教育の問題点を指摘している。
巨匠三人の対談形式なので、スイスイ気楽に読めてしまえるのも、魅力。

個人的な話なのだけれど。
アメリカの大学院に進学して4年目になって、
自分の目的や方向性や夢が曖昧になりかけてることに気づくことがある。
ドクター生として、毎日目の前のこなすべき事柄に忙殺されて、
いつの間にか、ドクターを取得すること自体が「目的」となっていた気がして。
本当は、ドクター取得までに大学院で学んだり身につけたりする全ての物を、将来の自分につなげるための「手段」と考えるべきで、
ドクター取得はあくまでその延長にある「目的」であるべきなのに、
その手段を身につける過程を軽視して、「とにかくドクターを取る」
とかいう、この博士課程を終える目的の方に重点を置きがちだったような。
セメスター中でない今、ゆっくり考える時間ができて、そんなことに気づいて、「じゃあ、私が今経験してることをもっと大切にしなければ」と思うようになった。
自分の体験を全て、意味あるものにしなければ。

実際、今私が体験してることはなんなんだろう、と思う。
時々、アメリカという国に嫌悪感を抱いたり、批判的になってみたり、妙に日本の良さが身に染みたり、かと思えば、自分を含めた日本人の無知に失望したり。
そんなことで、もっと日本を知らなければいけない、と思うようになった。
日本語とは、日本人とは何かを知らなければ、言葉と文化の関係に関する研究の答えなんか出るはずがないと気づいた。
そんな中、この本によって大きく揺さぶられたような。

外国に侵略されたことのないという日本の歩んで来た歴史をたどり、
外国との接触が他国よりも少なかったその地形に注目すると、
日本が、他国とのコミュニケーションが上手くできなかったり、関係が上手く築けなかったり、日本人が外国語を苦手としたりする原因が見えてくるという。
やっぱり日本人にとっては、外国はいつまでも何か「特別な」ものでしかない。

それに加えて、今の日本での中途半端な英語教育と不十分すぎる国語教育。
今のままの教育では、英語ができないだけでなく、日本語もしっかりできない言語不自由者ばかりを産み出すばかりだとか。
国外どころか、国内でもちゃんとしたコミュニケーションが取れなくなってしまうなんて、とっても危険・・・。

これからの日本や日本人を救うには、日本語、日本という国とは何かを知り、それを理解して見つめなおす必要があるということ!
言語にそれほどまでに世の中を変える力があるなんて、スバラシイ!


posted by eiko at 17:26| Comment(9) | Culture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すごいまっすぐな日記だね。

こういう日記大好きです。

自分も言語により思考はある程度限定されていくモノだと思っています。

日本人の特性としてどうしても客観のスパイラルから抜けられないところがあると思う。何かする時に、主観的じゃなくて客観的に判断する。だから一歩深い。

それは絶対に今の日本語に起因していると思う。

芸術をやろうとしている人だって自分のやりたいことと求められていることの違いに迷う。

その狡さは中途半端な日本(語)教育から来るモノだとも思う。

でも、それ見せかけの日本人だと思う。

本来は各々が責任をもって勝負しなければならない。それが日本人だと思っています。

適切な言葉じゃないかも知れないけど、曖昧な日本語の中にすがすがしい一本筋の通ったモノの存在を見つけなければいけないと思う。

そういう適切な日本(語)を意識しないといけないと考えています。

長々と個人的な意見ごめんなさい。

日本を救ってね。
Posted by hideki at 2006年07月22日 23:06
なんだか面白そうなので、早速アマゾンで注文してみたYO!
Posted by いわ at 2006年07月22日 23:14
確かに、日本人のくせに日本語不自由な人多いよね。

自分も人のこと言えないけど、うちの大学の後輩見てると「うちら数学科だから、国語できなくても良いじゃん!」とか言う輩が多くて困る。

じゃあ、君はどの言語使って数学やってるの?って聞きたくなる。

数学やっていても日本語の大切さや英語圏との言語による文化の違いってのを思い知らされるよ。
Posted by ヴァイス at 2006年07月22日 23:38
平安時代の言葉が長い時間をかけて今の時代の言葉に変わってしまったように、時代によってに日本語が変わってしまうのは残念ではあるけど、しょうがないことではありますよね。
でも、古今集とか万葉集の恋の詩なんか読んでみると、「好き」と「愛してる」っていう直接的な言葉ではないのに、雪や葉に例えられる四季折々の言葉が、はっきりとした言葉以上に理解できたり、心に染みたりします。
曖昧な中にも、相手の心を汲み取ろうとする優しさや、相手に対する気遣いを感じる言葉の使い方。その心が日本人なのかな〜と感じたりします。狭い世界でしか暮らしたことのない者の独り言でした。失礼しました。
また、大きな世界からの意見を聞かせてくださいNE☆
Posted by ぼくのえん at 2006年07月23日 00:44
>Hidekiくん
私なんかのつたない日記に、まっすぐ、なんて言ってもらえて、嬉しいです!
確かに、言葉(日本語)は、物事をごまかしたり曖昧にするために使うんじゃなくって、物事をはっきり表わすために使われなくてはだめよね。そこらへんがはっきりしてない人が多いのが今の日本人かもやね。
それから、日本人はもうちょっと主観でものを見てもいいのかな、とも正直思います。日本人は、順応や適応には強いけど、自分から先導して新しいものを作り出すことは弱いような気がします。もうちょっと自分たちを主体にして物を見れるようになるべきなのかな、と感じてます。

>がんちゃん
さすが!その素早さがステキやわ!同じ感動を他の人にも味わってほしいので、ぜひぜひ読んじゃってください!すっごい嬉しいw

>ヴァイちゃん
そうそう!それはまさにいい指摘やわ!言葉を、コミュニケーションのためだけの道具だと思ってる人間がいっぱいいるんよね。実は、そうじゃなくって、私たちは言葉を使って物を考えてるのに!だから、日本語をちゃんと使えなきゃ、正しく物を考えたり理解したり伝えたりができるわけないんよね!私も人のこと言えないんやけどねえ。。

>ぼくのえんさん
私も、そういう日本人の繊細さって、日本人の宝だと思ってます!そんな日本語の良さを理解しなかったり軽んじだりして、外国語がかっこいいと思ったり外国語に対して劣等感を感じたりする日本人が多いのがとっても残念!日本人ならもっと日本語の素晴らしさを認識して、もっと日本語を知るべきだと思うのだけれどもねえ。
それにしても、大きな世界だなんて、とんでもない!私もまだまだ全然小さな世界の住民で、早くもっと視野が広げられたら、って思うばっかりやわー・・・。
Posted by エイコ at 2006年07月24日 01:55
確かにね〜
日本語できない日本人は多いよ。
新人研修でも、技術的なことの前に日本語から教えなきゃいけない事が悲しい。。。
Posted by スーザン at 2006年07月24日 10:31
「祖国とは国語」って読んだことある?
母国語は何を学ぶ上でも基本となる言語で、情緒や論理的思考を司る以上
それを軽視してはいけない、という藤原正彦さんという数学者の著作です。
ある意味特殊な育ち方をした私が読んで納得してしまい、
面白いなーと思ったので紹介します。
Posted by かば at 2006年07月26日 03:39
>スーザン
そうそう、私も人のことは言えないんやけども、確かにそうやんね。今の学校の国語の授業って、文学が中心で、言語を文法からしっかり学ぶことってしてないし、やっぱ学校教育のシステムから問題があるのかな、って感じ。新人研修で日本語から教えないといけないスーザンは、まさにそのとばっちりを受けてるんやね・・・。

>かばさん
それは、ぜひぜひチェックしてみたい本です。言語学者で、言葉と思考の関係を指摘してる人は多いけど、数学者でもそんなことを言ってる人がいるとはおもしろそう!!
Posted by エイコ at 2006年07月27日 02:53
私も読みたい!!
いや、読まなければ…

正しい日本語はテレビによる影響も多いのだろうけど、テレビを作っている本人たちが、正確な日本語を理解しているかどうか…。
私も全然わかってなくて、、「こういう時にはこういう言葉を使うのか」と、新たな発見をすることもしばしば・・・。
eycoちゃんから学ばなきゃ☆


手段が目的となってしまうってこと・・・ありがちだよね。
私も少し見失いがちだわ(><)
Posted by at 2006年07月28日 22:32
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