2010年01月22日

成績はモチベーションのために。

新学期が始まって、まずは最初の一週間が終わりました。今学期も、あるコミュニケーションのクラスを2コマ教えます。これで三学期目。そして、最後。

今学期このクラスを教えるにあたって、目標の一つ:学生に「成績は努力への動機となるべきで、目的と考えるべきでない」ということをわかってもらいたい、ということ。そのために、どうするか。それは大きな課題。

先学期、採点でとーっても苦労した。原因は、先々学期と大きく変わった採点システム。私が教えてるのと同じ授業は他にも幾つも開講されていて、合計で15人から20人くらいの大学院生が同じ内容の他の授業を受け持っている。みんなが同じ採点システムをもちろん使っているんだけれど、先々学期までは採点基準が全体的に甘かったらしく、多くのクラスでほとんどの学生がA、という結果になっていた。そのことに、この授業の講師たちを仕切ってる教授がついに切れて・・・。先学期の頭、その教授からの厳しいお達しが。

「成績を厳しくつけろ」と。とにかく厳しくしろ、と。

学生に課されるのはプレゼン4つ、試験2つ、小テスト15、小ペーパー3つ。これらの採点を全部厳しくしろとのこと。なんでも、一クラスにつき、Aを5人までに留め、Cがクラス平均になるように成績をつけろ、と。大学の評価の仕方は絶対評価であるべきなのに、これじゃあまるで相対評価。この方針には、講師みんな不満があったみたいだった。

当然、講師だけでなく学生にも大きな影響が。厳しい採点は、不公平な採点だと思われてしまいがち。点数に不満を持ったり、成績を心配したりする学生たちがたくさん相談に来るようになった。一人一人とたくさんたくさん話し合って、何でその成績がついたか説明したり何をすべきかアドバイスしたり一緒に考えたり。私と学生との軽いバトルが、しょっちゅう繰り広げられることになった。

その中で、なるべく明確に説明しようと思っていたことは一つ。成績をメインに考えるのではなく、どうしたらより良いスピーチができるか、それをメインの目標にしてほしい、ということ(ちなみにスピーチについて学ぶクラスです)。学習、ということに焦点を当ててほしい、ということ。

学生達と頻繁に話すのは時間もとられるし、精神的に疲れることも多かったけど、得るものもたくさんあったと思う。話を聞いて、どのように授業を進めたら学生が自分で答えを見つけられるようになるのか、わかった。多くの学生の声を聞くことができ、自分の考えを聞いてもらうこともでき、自分の教え方にも向き合う機会が持てた。
学生も成績を伸ばすのに必死なのだから、私もいい授業ができるよう必死でなければ。厳しい採点基準が招いたのは悪いことばかりではなくて ― より努力しようと頑張る学生が増えたし、私も学生の納得のいく授業・採点をもっともっと心がけるようになった。最初は不満だったけど、今ではこの試練を与えてくれた教授に感謝すら?してます。そっか。厳しく評価することは、学生にとっても講師にとっても、いいことがあるんだ。苦労も多いけどさ・・・。

いろんな学生がいる。最後までわかってくれなかった学生も、もちろんいた。学期中に一度も相談に来なかったし、努力のかけらも見せなかったのに、最後になって文句を言う、というタイプの学生。努力せずしてはいい成績がつかないのは当たり前。そういう学生はどこにでもいるし、気分は良くないけど、ある意味仕方がない・・・。
一方で、努力したにも関わらずAを取れなくても、最後は満足してくれた学生もいた。「たくさん学べたよ」と言ってくれた言葉は、キラキラ。輝いて聞こえた。そんな学生が、たとえAに終わらなくても満足できたのは、努力したから。それこそ、成績よりも学ぶことを中心目標にできた学生。本当の授業の意義を見出せたそんなタイプの学生は、この先いろんな成功が待ってる、と願ってます。努力せずしていい成績を取ることだけに執着する点取り虫タイプの学生よりも・・・。

この授業をUTで教えるのは今学期最後。たぶんまた採点では苦労することになると思うけど、先学期の経験をもとに、私にとっても学びの場だと信じて、精一杯頑張るつもり♪2コマどちらのクラスにも、同じだけの努力と精力と愛情を注いで・・・。


posted by eiko at 23:16| Comment(6) | TrackBack(0) | Graduate student life | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
当時を振り返るに、優か可かなんてどうでも良くて、取れたか取れなかったかだけが重要だったなー
Posted by 鉄人524号 at 2010年01月23日 09:17
多分、コミュニケーションの課題って、数学みたいに客観的に正しい一つの答えがあるわけじゃなくて、採点は主観的なものですよね?だとすると、自分が対象に対してよっぽどしっかりしたイメージを持ってないと、採点や生徒の対応が厳しいでしょうね。とにかく最後のセメスター、がんばってください。
Posted by makoto at 2010年01月23日 09:46
絶対評価じゃないんやー。
相対評価って日本的な感覚だと思ってたんやけどな...
 
「成績は努力への動機となるべきで、目的と考えるべきでない」
これって頭では分かってるつもりでいても、
実際には難しいことだよね。
自分の学生時代を考えてみても、単位取るためにやってたからなぁ。
 
eycoちゃんも最後の学期、楽しんでね。
Posted by T.Asai at 2010年01月23日 10:32
C平均って、ありえないよね!頑張れば、結果が目に見えやすいクラスだし、だからこそ面白いクラスでもあると思うんだけどな。彼は、CMS306M= easy Aという公式が成り立つのを恐れているんだと思うけれど、なんか、でも、彼の焦点もちょっとずれている気がしないでもない。。。

学ぶ事に喜びを感じてくれる学生と出会うことは本当に難しく、でも、だからこそ、eycoちゃんはeycoちゃんの信念を大事に、そして信じ通して、突っ走ってください!真剣にぶつかると、こちらも学ぶ事が多いし、何より、そんな先生に学生がついてきたとき、その学生は「こころから」ついてくる。。。それが何よりの財産♪

応援してるよ!頑張れ〜!!!!!
Posted by 彩依 at 2010年01月23日 11:58
大学院生のクラス教えてるんだー。すごいね。大学院生でCがクラス平均っていうのはキツイかもね。そりゃ、文句言いに来るかも。大学院生なんて、Aを取って当たり前の世界だからねー。

学部生のクラスだったら、ほとんどの学生がAは問題ありかも。うちの日本語の一年生、150人くらいいるけど、A取れるのは40人もいないと思う。
Posted by もちころ at 2010年01月24日 01:32
>524さん
日本の大学は、卒業に成績ってあんまり関わらないですよね。単位が取れさえすればいいから、優でも可でも同じといえば同じ。
でも、こっちの大学はそうはいかないんですよねー。だから、いい成績とるために必死な学生が結構いるんです。成績ばかりに執着しちゃうのもどうなんでしょうねぇ。。。

>makotoさん
まさにその通りなんです!
完全に客観的に採点できる課題ばかりじゃなく、もちろんどこかで主観が入ってしまうものばかり。そこをどうシステマチックに採点し、正当性が示せるような形にできるのか、っていうのが本当に難しいです。
こっちもしっかりとした採点基準がないと、学生に対して何も言えないんですよね。だから、私が何を求めるかということをしっかり伝えないといけない・・・それが最大のチャレンジだと思ってます。

>あさいちゃん
絶対評価なんだよー。ほんとは。なんだけど、教授が私たち講師に対して言ってる内容を聞くと、まるで相対評価をしろ、と言ってるような感じなんだよね。
一クラスにつき、27人学生がいるんやけど、それに対してAを5人までに抑えろ、とかってさぁ・・・。ありえない。。。難しいです。

私自身の学期はこれで最後になるかわからないけど(それは多分無理。。)、楽しみつつ頑張ります。

>彩依ちゃん
頑張ればA、というのではダメなんだってさー。まあ、大学のクラスだし、Expectationが高いのは当たり前にしても、C平均ってのはちょっと厳しすぎるよね。ましてや、完全に客観的に評価ができないクラスなのに。
ほとんどの学生がA、ってのは問題にしても、わざわざ厳しくする必要はあるんだろうか。。。
学生全員を満足させることは難しいけど、一人でも多くの学生に楽しんで学んでもらえるよう、私も頑張ります。

>もちころさん
大学院のクラスじゃないですよー!学部生のクラスです。だから、Aが多すぎるのは問題だってのは確かにそうですよね。ただこのクラス、一クラスにつき27人学生がいるんですが、そのうちAが5人ってことは、10%以下。言語のクラスのように、わりと客観的に採点できるものが多い場合はいいかもしれないんですが、どうしても主観が絡むプレゼンなどの採点は、学生を納得させるのがやっぱり難しいです。
それにしても、日本語一年生だけで150人も受けてるんですねー。さすが人気言語だー。
Posted by エイコ at 2010年01月24日 06:58
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